2025年07月16日 更新
被爆の実相を伝える「原爆パネル展」の開催
原爆投下から80年経った、今、知らなければならないこと
2024年7月の厚生労働省の発表によれば、2024年3月末の被爆者健康手帳の所持者の平均年齢は85.58歳となりました。
高齢化が進む中で所持者も10万6825人まで減っています。所持者がもっとも多かったのは、1980年の37万2264人ですので、ピーク時からすでに半数以下となっています。
今では直接被爆者から被爆体験を聞く機会も減ってきました。広島市にある原爆資料館では、さまざまな展示に創意工夫を凝らし被爆の実相を語り継ぐ努力をされていますが、安芸高田市に住む私たちが原爆資料館に赴き展示を見る機会も減ってきています。
そこで、人権福祉センターでは被爆の実相を語り継ぐ『原爆パネル展』の取り組みを次の日程で行います。
ご近所の皆さんや、学生の皆さんなど、この機会に吉田人権福祉センターで開催されている『原爆パネル展』をご覧いただき、あらためて被爆の実相に触れてみませんか?
開催日時
日時 7月21日火曜日~8月1日金曜日
※時間は日にちによって違いがありますのでご注意ください。
詳しくはチラシのカレンダーをご覧ください。
場所 吉田人権福祉センター 大集会室
原子爆弾が生み出す巨大な破壊力
当時の「軍都 廣島」に投下された、リトルボーイに搭載されていたウラン235の核分裂が引き起こした巨大なエネルギーは、熱線、爆風、放射線という形で当時の広島にいた人々、動植物、建築物に深刻な被害をもたらしました。広島市の約600メートルの上空で核分裂反応が発生し、その1万分の1秒後には直径約30メートル、約30万度の火球が形成され、1秒後にはその火球は直径約280メートルに膨張し、表面温度は約5000度となりました。このときの爆心地周辺の地表温度は3000度から4000度に達しました。これは鉄の融点である1536度よりもはるかに高い温度です。
爆心地から1.5キロメートル以内で遮るものがないまま熱線を浴びた人々は、皮膚だけでなく内臓にも深刻な影響を受け、その多くが即死しました。即死を免れた人々も、火傷が身体の深いところまで達し、皮膚がはがれてしまいました。
原爆投下による広島の人々の死の約6割が、この強烈な熱線による火傷と、熱線によって市内各所で発生した火災によるものだと言われています。火災により爆心地からおおむね2キロメートル以内地域の家屋、建物は全焼し、原爆の熱線は、爆心地から3キロメートル離れたところでも人々に火傷を負わせるほど強力でした。
ウラン235の核分裂反応によって発生した火球のすさまじい高熱は瞬時に周辺の空気を膨張させ、これにより強烈な爆風が発生。その衝撃波は原爆の爆発の10秒後には爆心地から3.7キロメートル先に、さらに30秒後には約11キロメートル先に到達しました。
その圧力は爆心直下で1平方メートルあたり35トン、最大風速は秒速440メートルに達し、爆心地から1.6キロメートル離れた地点も秒速74メートル爆風が吹きました。強烈な爆風で人々は吹き飛ばされ、倒壊した家屋からは火災が発生し、さらに、爆風によって割れたガラスが人々に突き刺さり、生き残った人々に長く苦痛を与えました。ある被爆者は「身体にガラス片が突き刺さった姉は、被爆から何年も経ってからガラス片を身体から引き抜くとき、いつも痛みで悲鳴を上げていた」という体験を語っていました。
熱線と爆風による被爆の実相について、広島平和記念資料館の編纂で1971年に発行された「広島原爆戦災誌」(全5巻)では、半径500メートル以内は「ごく一部、特殊な場所にいた人を除いてはほとんど蒸発的即死…」、半径500メートル以上1キロメートル以内にいた人は「五体がバラバラに裂けた…」、半径1.5キロメートル内外では「倒壊した建物の下敷きとなり、火災の発生によって、生きながらにそのまま焼死した人々が実に多い…」と記されています。倒壊を免れた鉄筋コンクリート造りの建物でも、窓が吹き飛ばされ、内部が消失するなど大きな被害を受けました。爆心地から2.7キロメートルの地点に残る旧陸軍被服支廠の建物(戦後は日本通運汐留倉庫)では、今も爆風によってへし曲げられた鉄窓を見ることができます。
原爆が投下されたとき、広島市内には35万人の人々がいたと考えられています。爆心地から1.2キロメートルの範囲内にいた人々の約5割が原爆投下の当日に死亡し、放射線による急性障害がおさまったこの年の12月末までに、広島全体で約14万人(±1万人)が死亡したと推察されています。
当時の人々は、爆弾としての原爆のすさまじさを感じたことと思いますが、原子爆弾の本当に恐ろしさでもある、その後長く長く続く、放射線による深刻な被害については、知る由がありませんでした。
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