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市長コラム第47回 米百俵の精神

 幕末維新の北越戦争で城下町長岡(現在の新潟県中越地方北部から下越地方西部)は焼け野原となり、米等の実収が6割落ち込んで、財政が破綻し、藩士たちはその日の食にも苦慮する状態になりました。この様な状況の中、長岡藩の支藩である三根山藩から「米百俵」が贈られて来ました。藩士たちは、「これで生活が少しでも楽になる」と喜びましたが、当時長岡藩の要職を務めていた小林虎三郎という人物が、贈られた米を藩士に与えず、米を売却して学校設立の費用に充てようとしました。この処置に当然、藩士たちは反発しましたが、「この米を一日か二日で食いつぶして、後に何が残るのか。国が起こるのも、滅びるのも、まちが栄えるのも、衰えるのも、ことごとく人にある。私は、この百俵の米をもとにして、学校を建てたいのだ。この百俵は、今でこそただの百俵だが、後年には一万俵になるか、百万俵になるか、計り知れないものがある。いや、米俵などでは、見積もれない尊いものになるのだ。その日ぐらしでは、長岡は立ちあがれないぞ。新しい日本は生まれないぞ。」と藩士たちを論し、自らの施策を実行しました。この学校建設により、長岡藩からは著名な人材が数多く生まれ、長岡藩の発展に寄与したという話があります。

 この「米百俵」の精神。約10年前の小泉内閣の際、当時の小泉首相がしきりに予算委員会等で引用していましたから、皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか。

 安芸高田市の市政を担当する私としても、10年後・30年後の安芸高田市の実態、日本国の実態、世界の実態を適格に見据え、目先の利益にとらわれず、「米百俵」の精神を教訓として、将来を見据えた行政運営が必要であると、身を持って感じているところです。

 安芸高田市では、今回「国土交通省観光庁」の要請で福島県(いわき市・相馬市)において、安芸高田神楽による慰問を実施する事になりました。先般、私と藤井議長が相馬市を訪問し、相馬市長・相馬市議会議長と慰問に関する具体的な打ち合わせを行いました。そのおおまかな内容としましては、安芸高田神楽については、ある程度の興味を持って頂いており、慰問による神楽公演を大変楽しみにしておられるということでした。さらに、その打合せの中で興味深い話がありました。私が「今一番何を欲しますか?」とお尋ね致しましたところ、なんと「米が一番欲しい」とご返答されました。米どころ福島で意外な回答だと思いましたが、福島原発に近い農地では米の作付が許されておらず、米が慢性的に不足しているという現実があるとのことでした。その話を聞き、神楽公演に併せ、長岡藩とは主旨が異なるかも知れませんが、市民の皆様のご協力による「米百俵」を贈呈する事にしました。この「米百俵」と「神楽」が福島県の一時的な支援ではなく、被災地の皆様に大きな勇気を与え、また、大きな活力を与える呼び水となり、震災の早期復興という計り知れない成果に繫がることを願っております。


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