○安芸高田市公文書等の管理に関する条例
平成23年12月22日
条例第45号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 行政文書の管理(第4条―第10条)
第3章 特定歴史公文書の保存、利用等(第11条―第24条)
第4章 適正な文書管理の維持(第25条―第27条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える市民共有の知的資源として、市民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、市の有するその諸活動を現在及び将来の市民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「実施機関」とは、市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び議会をいう。
2 この条例において「行政文書」とは、実施機関が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
(1) 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
(2) 特定歴史公文書
(3) 安芸高田市立図書館、安芸高田市歴史民俗博物館(以下「博物館」という。)その他これらに類する施設において、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの
3 この条例において「歴史公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書のうち、概ね次に掲げる情報が記録された文書で、市長が規則で定める基準に適合するものをいう。
(1) 市の組織及び機能並びに政策の検討過程、決定、実施及び実績に関する重要な情報
(2) 市民の権利及び義務に関する重要な情報
(3) 市民を取り巻く社会環境、自然環境に関する重要な情報
(4) 市の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報
4 この条例において「特定歴史公文書」とは、歴史公文書のうち、第8条第1項の規定により教育委員会に移管されたものをいう。
5 この条例において「公文書等」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 行政文書
(2) 特定歴史公文書
(他の法令との関係)
第3条 公文書等の管理については、法律若しくはこれに基づく命令又は他の条例に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
第2章 行政文書の管理
(文書の作成)
第4条 実施機関の職員は、第1条の目的の達成に資するため、当該実施機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該実施機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、実施機関が規則その他の規程(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第2項に規定する規則その他の規程及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程を含む。以下同じ。)で定めるところにより、文書を作成しなければならない。
(行政文書の整理)
第5条 実施機関の職員が行政文書を作成し、又は取得したときは、当該実施機関は、実施機関が規則その他の規程で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
2 実施機関は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、適時に、相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない。
3 前項の場合において、実施機関は、実施機関が規則その他の規程で定めるところにより、当該行政文書ファイルについて分類し、名称を付するとともに、保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない。
5 実施機関は、行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(以下「行政文書ファイル等」という。)について、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として、歴史公文書に該当するものにあっては教育委員会への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない。
(行政文書の保存)
第6条 実施機関は、行政文書ファイル等について、当該行政文書ファイル等の保存期間の満了する日までの間、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
2 前項の場合において、実施機関は、当該行政文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならない。
(行政文書ファイル管理簿)
第7条 実施機関は、行政文書ファイル等の管理を適切に行うため、実施機関が規則その他の規程で定めるところにより、行政文書ファイル等の分類、名称、保存期間及び保存期間の満了する日その他の必要な事項(安芸高田市情報公開条例(平成16年安芸高田市条例第14号。以下「情報公開条例」という。)第7条に規定する非公開情報に該当するものを除く。)を帳簿(以下「行政文書ファイル管理簿」という。)に記載しなければならない。
2 実施機関は、行政文書ファイル管理簿について、実施機関が規則その他の規程で定めるところにより、当該実施機関の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない。
2 実施機関は、前項の規定により教育委員会に移管する行政文書ファイル等について、第12条第1項第1号に掲げる場合に該当するものとして市長が利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。
(管理状況の報告等)
第9条 実施機関は、行政文書ファイル管理簿の記載状況その他の行政文書の管理の状況について、毎年度、市長に報告しなければならない。
2 市長は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表しなければならない。
2 行政文書管理規則には、行政文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 作成に関する事項
(2) 整理に関する事項
(3) 保存に関する事項
(4) 行政文書ファイル管理簿に関する事項
(5) 移管又は廃棄に関する事項
(6) 管理状況の報告に関する事項
(7) 点検、監査及び研修に関する事項
(8) その他実施機関が規則その他の規程で定める事項
3 実施機関は、行政文書管理規則を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
第3章 特定歴史公文書の保存、利用等
(特定歴史公文書の保存等)
第11条 教育長は、特定歴史公文書について、第22条の規定により廃棄されるに至る場合を除き、永久に保存しなければならない。
2 教育長は、特定歴史公文書について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。
4 市長は、市長が規則で定めるところにより、特定歴史公文書の適切な利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、公表しなければならない。
(特定歴史公文書の利用請求及びその取扱い)
第12条 市長は、教育委員会に移管した特定歴史公文書について前条第4項の目録の記載に従い利用の請求があった場合には、次に掲げる場合を除き、これを利用させなければならない。
(1) 当該特定歴史公文書に次に掲げる情報が記録されている場合
ア 情報公開条例第7条第1号に掲げる情報
イ 情報公開条例第7条第2号に掲げる情報
ウ 情報公開条例第7条第4号に掲げる情報
エ 情報公開条例第7条第7号ア又はオに掲げる情報
オ 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると当該特定歴史公文書を移管した実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報
(2) 当該特定歴史公文書が実施機関との合意において利用の制限を行うこととされている場合
(3) 当該特定歴史公文書の原本を利用に供することにより当該原本の破損若しくはその汚損を生ずるおそれがある場合又は当該特定歴史公文書の原本を現に第20条の規定により利用されている場合
(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第14条 利用請求に係る特定歴史公文書に国、公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)第2条第2項に規定する独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人並びに利用請求をした者以外の者(以下「第三者」という。)に関する情報が記録されている場合には、市長は、当該特定歴史公文書を利用させるか否かについての決定をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書の名称その他市長が規則で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 市長は、第三者に関する情報が記録されている特定歴史公文書の利用をさせようとする場合であって、当該情報が情報公開条例第7条第1号イに規定する情報又は同条第2号ただし書に規定する人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するため公にすることが必要であると認められる情報に該当すると認めるときは、利用させる旨の決定に先立ち、当該第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書の名称その他市長が規則で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
3 市長は、特定歴史公文書であって第12条第1項第1号オに該当するものとして第8条第2項の規定により意見を付されたものを利用させる旨の決定をする場合には、あらかじめ、当該特定歴史公文書を移管した実施機関に対し、利用請求に係る特定歴史公文書の名称その他市長が規則で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
4 市長は、第1項又は第2項の規定により意見書を提出する機会を与えられた第三者が当該特定歴史公文書を利用させることに反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、当該特定歴史公文書を利用させる旨の決定をするときは、その決定の日と利用させる日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、市長は、その決定後直ちに、当該意見書(第17条第2項第2号及び第18条第3号において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、利用させる旨の決定をした旨及びその理由並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。
(利用の方法)
第15条 市長が特定歴史公文書を利用させる場合には、文書又は図画については閲覧又は写しの交付の方法により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して市長が規則で定める方法により行う。ただし、閲覧の方法により特定歴史公文書を利用させる場合にあっては、当該特定歴史公文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときに限り、その写しを閲覧させる方法により、これを利用させることができる。
(審理員の審理手続に関する規定の適用除外)
第16条の2 特定歴史公文書の利用請求に対する処分又は利用請求に係る不作為に係る審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項の規定は、適用しない。
(審査請求及び安芸高田市公文書等管理・情報公開・個人情報保護審査会への諮問)
第17条 特定歴史公文書の利用請求に対する処分又は利用請求に係る不作為について不服がある者は、市長に対し、審査請求をすることができる。
(1) 審査請求が不適法であり、却下するとき。
(2) 裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る特定歴史公文書の全部を利用させることとする場合(当該特定歴史公文書の利用について反対意見書が提出されているときを除く。)
3 前項の規定による諮問は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の弁明書の写しを添えてしなければならない。
(諮問をした旨の通知)
第18条 前条第2項の規定により諮問をした市長は、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。
(1) 審査請求人
(2) 利用請求をした者(利用請求をした者が審査請求人である場合を除く。)
(3) 当該審査請求に係る利用請求に対する処分について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が審査請求人である場合を除く。)
(1) 利用させる旨の裁決に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する裁決
(2) 審査請求に係る利用請求に対する処分を変更し、当該利用請求に対する処分に係る特定歴史公文書を利用させる旨の裁決(第三者である参加人が当該特定歴史公文書を利用させることに反対の意思を表示している場合に限る。)
(利用の促進)
第20条 教育長は、特定歴史公文書(第12条の規定により利用させることができるものに限る。)について、博物館において展示その他の方法により積極的に一般の利用に供するよう努めなければならない。
2 博物館は、第11条第5項に規定する目録から、展示又は調査研究のために特定歴史公文書の利用を申請することができる。
3 教育長は、規則に定めるところにより、前項の特定歴史公文書を博物館に利用させることができる。
(移管元実施機関による利用の特例)
第21条 特定歴史公文書を移管した実施機関が市長に対してそれぞれその所掌事務又は業務を遂行するために必要であるとして当該特定歴史公文書について利用請求をした場合には、第12条第1項第1号の規定は、適用しない。
(特定歴史公文書の廃棄)
第22条 教育長は、特定歴史公文書として保存されている文書が歴史資料として重要でなくなったと認める場合には、当該文書を廃棄することができる。
(保存及び利用の状況の公表)
第23条 市長は、特定歴史公文書の保存及び利用の状況について、毎年度、その概要を公表しなければならない。
2 利用規則には、特定歴史公文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 第16条に規定する費用負担その他一般の利用に関する事項
(2) 特定歴史公文書を移管した実施機関による当該特定歴史公文書の利用に関する事項
4 保存等規則には、特定歴史公文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 保存に関する事項
(2) 博物館における利用に関する事項
(3) 廃棄に関する事項
(4) 保存及び博物館における利用の状況の市長への報告
5 市長及び教育長は、それぞれ利用規則及び保存等規則を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
第4章 適正な文書管理の維持
(審査会への諮問等)
第25条 実施機関は、次に掲げる場合には、審査会に諮問しなければならない。
(1) 行政文書管理規則、利用規則、保存等規則及び第10条第2項第8号の規則その他の規程の制定又は改廃の立案をしようとするとき。
(2) 第22条の規定による廃棄をしようとするとき。
(職員の責務及び職員に対する研修)
第26条 実施機関の職員は、この条例の趣旨に対する理解を深め、市民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って誠実に公文書等を管理するよう努めなければならない。
2 実施機関は、当該実施機関の職員がその責務を果たすことができるよう、当該職員に対し公文書等の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。
(組織の見直しに伴う行政文書等の適正な管理のための措置)
第27条 実施機関は、当該実施機関について統合、廃止等の組織の見直しが行われる場合には、その管理する行政文書について、統合、廃止等の組織の見直しの後においてこの条例の規定に準じた適正な管理が行われることが確保されるよう必要な措置を講じなければならない。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に作成し、又は取得した文書について適用する。
3 実施機関は、この条例の施行の際実施機関が自ら定めた基準により保存期間を定めることなく保存している簿冊等(能率的な事務又は事業の処理及び文書の適正な保存の目的を達成するためにまとめられた相互に密接な関連を有する文書の集合物又は単独で管理することが適当な文書をいう。以下同じ。)にあっては、第5条第1項又は第3項の規定により実施機関が規則その他の規程で定める期間のうち最も長い期間を経過したとき第2条第3項に規定する基準に適合すると評価したものについては、同項に規定する歴史公文書とみなし、第8条の規定の例により教育委員会に移管し、教育長は、その移管された文書を第3章の規定の例により、保存するとともに、利用に供するよう努めるものとする。
(安芸高田市情報公開条例の一部改正)
5 安芸高田市情報公開条例(平成16年条例第14号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(安芸高田市個人情報保護条例の一部改正)
6 安芸高田市個人情報保護条例(平成16年条例第15号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(安芸高田市情報公開・個人情報保護審査会条例の一部改正)
7 安芸高田市情報公開・個人情報保護審査会条例(平成16年条例第16号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成28年3月9日条例第4号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
(経過措置)
5 第10条の規定による改正後の安芸高田市公文書等の管理に関する条例第16条の2から第19条までの規定は、施行日以後にされた安芸高田市公文書等の管理に関する条例第12条第2項に規定する利用請求(以下この項において「利用請求」という。)に係る決定又は利用請求に係る不作為に係る審査請求について適用し、施行日前にされた利用請求に係る決定又は利用請求に係る不作為に係る異議申立てについては、なお従前の例による。
附則(令和5年3月16日条例第20号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。