○安芸高田市男女共同参画推進条例

平成21年3月19日

条例第8号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第8条―第16条)

第3章 安芸高田市男女共同参画推進審議会(第17条・第18条)

附則

安芸高田市は、中国山地のなだらかな山々に囲まれ、緑と清流が美しい豊かな自然環境に恵まれた、農業を中心として発展してきた地域である。また、戦国時代の武将・毛利氏の居城である郡山城などを中心とした歴史的資源や、神楽や花田植といった郷土芸能などを継承し、地域特有の文化を育んできた。

21世紀を迎え、少子高齢化、国際化及び高度情報化が急速に進展する中で、豊かで活力ある社会を築くためには、男女が対等なパートナーとして互いに人権を尊重し、責任を分かち合い、それぞれの個性と能力を十分発揮することのできる男女共同参画社会の実現が大変重要である。

また、住民と行政の協働のまちづくりをすすめる、本市の将来像「人 輝く・安芸高田」の実現のためには、男女共同参画は欠かせない要件の1つであり、これまでも様々な取組みを行ってきた。

しかし、社会においては、いまだに性別による固定的な役割分担等を反映した制度や慣行が根強く残っており、男女共同参画社会の実現には多くの課題があるのが現状である。

「人 輝く・安芸高田」があらわす、だれもが豊かで生き生きと暮らせる地域を実現し、未来に引き継いでいくために、市、市民及び事業者が協働して男女共同参画社会を早期に実現することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、その基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、本市における男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべきことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動等により他人を不快にさせ、もってその者の生活環境を害することをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接又は間接に性別による差別的扱いを受けないこと、男女が自らの意思と責任の下に個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。

(2) 性別による固定的な役割分担等を反映した制度又は慣行をなくすよう努めるとともに、これらの制度又は慣行が、男女の社会におけるあらゆる活動の自由な選択を妨げることのないよう配慮されること。

(3) 男女が、政策又は方針の立案及び決定に、共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び職業生活その他の社会生活における活動を両立して行うことができること。

(5) 男女が、それぞれの特性についての理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項に関し、互いの意思が尊重され、健康な生活を営むことについて配慮されること。

(6) 男女共同参画の推進と密接な関係を有する国際社会の動向に留意し、協調してこれに取り組むこと。

(性別による人権侵害の禁止)

第4条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場において、性別による差別的扱いをしてはならない。

2 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントその他の人権を侵害する性的な言動や性的暴力を行ってはならない。

3 何人も、その配偶者その他の家族の構成員に、身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為を行ってはならない。

(市の責務)

第5条 市は、第3条に規定する基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「男女共同参画施策」という。)を総合的かつ計画的に推進するものとする。

2 市は、男女共同参画の推進に、市民及び事業者と協働して取り組むものとする。

3 市は、男女共同参画施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野における男女共同参画の推進に、積極的に取り組むものとする。

2 市民は、市が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、事業活動に関して、男女が対等な立場で参画する機会を確保し、仕事と、子育てや介護等の家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職場環境の整備に努めるものとする。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画施策に協力するよう努めるものとする。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(基本計画)

第8条 市長は、男女共同参画施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 市長は、基本計画を策定したとき又は変更したときは、これを公表するものとする。

(行政の男女共同参画の推進)

第9条 市は、市の政策及び方針の決定過程に男女共同参画を図るため、次の各号に掲げるものについて、一方の性に著しく偏ることのないように努めるものとする。

(1) 市の執行機関である委員会の委員並びに市の政策及び方針の決定等に係る審議会等の委員その他の構成員

(2) 市の管理職等

2 市は、職員の性別によって、次のような格差を生じさせないよう努めなければならない。

(1) 性別によって職域が固定的に決定されること。

(2) 性別によって能力開発の機会を均等に与えられないこと。

3 市は、子育てや介護等の家庭生活における活動を支援する制度について、職員が性別にかかわらず活用しやすい環境をつくるよう努めるものとする。

(男女共同参画に係る啓発及び広報活動の実施)

第10条 市は、市民及び事業者が、男女共同参画の推進について理解を深めるため必要な啓発活動及び広報活動を行う。

(男女共同参画に係る教育の実施)

第11条 市は、市民が、男女共同参画について関心を持ち、理解を深めることができるようにするため、その教育及び学習の振興に必要な措置を講ずるものとする。

(苦情又は相談への対応)

第12条 市は、第4条第1項から第3項までの規定に反する行為その他男女共同参画の推進を阻害する問題についての苦情又は相談を受けた場合は、関係機関との連携を図りながら適切に対応するものとする。

(仕事と家庭生活等の両立支援)

第13条 市は、男女が共に、仕事と、家庭生活における活動その他の活動とを両立することができるよう、子育てや介護等の支援を行うものとする。

(男女共同参画の推進に向けた支援)

第14条 市は、市民及び事業者が行う男女共同参画への取組み(積極的改善措置を含む。)が促進されるよう、必要な情報提供その他の支援を行うものとする。

(調査研究)

第15条 市は、男女共同参画の推進に関し必要な調査研究を行い、男女共同参画施策その他の施策に反映させるよう努めるものとする。

(年次報告)

第16条 市長は、毎年、男女共同参画施策の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 安芸高田市男女共同参画推進審議会

(安芸高田市男女共同参画推進審議会)

第17条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査並びに審議するため、安芸高田市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(組織及び運営)

第18条 審議会は、委員15人以内で組織する。

2 男女いずれか一方の性の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。

3 委員は、市民及び学識経験のある者のうちから市長が委嘱する。ただし、市民のうちから市長が委嘱する委員の一部については、公募により決定するものとする。

4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員の再任は、これを妨げないものとする。

6 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関して必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成21年4月1日から施行する。

安芸高田市男女共同参画推進条例

平成21年3月19日 条例第8号

(平成21年4月1日施行)